歯科医院でAIを使う目的を、患者さんに向き合う時間を確保し、診療や説明を支える仕事の質を保つことに置きたいと考えています。便利な機能を増やすだけでなく、日々の仕事がどこで止まり、何を確認し直しているのかを見る。そのための連載を、金川歯科医院のAXプロジェクトを題材に始めます。
この連載では、AXを「AIを使い、医院の仕事の進め方を見直すこと」と捉えます。導入による時間短縮や収益への効果は、確認できたデータがある場合に、その条件とともに紹介する方針です。
予約や会計にアプリを使っていても、別の書類への転記、形式の異なる商品情報の整理、院内の手順に合わせた調整が残ることがあります。そこで、情報の整理や文章の下書きにAIを使い、医院に合う小さなプログラムの作成をCodexに手伝ってもらう。既存の仕組みに何を加えると仕事が進めやすくなるかを考えることが、この連載でAXに取り組む理由です。
目次
AIを選ぶ前に、仕事の流れを見る
仕事の流れを観察するための一般例を挙げてみます。同じ内容を予約画面と別の管理表に入力する、担当者の返事を待って処理が止まる、前の人が確認した事項を次の人がもう一度調べる。自院では、どの場面が気になるでしょうか。
大切なのは、作業が長い場所と、全体の流れを止めている場所を分けて考えることです。入力作業だけが速くなっても、その後の確認待ちが変わらなければ、仕事が終わる時刻はほとんど変わらないかもしれません。逆に、短い確認でも一人に集中していれば、次の仕事へ進めない時間を生む可能性があります。
こうした「仕事の詰まり」を、この連載ではボトルネックと呼びます。誰かの手際を評価するためではなく、必要な情報や判断が、必要な人へ届く仕組みを見直すために探します。
まず1週間、繰り返しと待ち時間を記録する
最初の方法として、1週間ほど、気になった作業の名前、発生回数、1回にかかった時間、待ち時間、確認し直した理由を記録する案があります。患者さんの氏名や診療内容を記録欄に持ち込まず、作業の流れを見るために必要な情報に絞ります。
「発生回数×1回の作業時間」は、見直す候補を選ぶ目安になります。ただし、それだけで優先順位は決まりません。その作業が止まると誰が待つのか、やり直しがどこまで広がるのか、急ぐ必要があるのかも一緒に見ます。観察した週に偏りがある場合は、別の週でも確かめます。
候補が見えたら、記入項目を揃える、担当者を決める、確認手順やひな形を用意する、といった方法も検討できます。既存システムの連携機能やAPIで転記を減らせる場合もあります。AIで補助する部分を決める前に、準備と維持にかかる手間も含めて比べたいと考えています。
バックオフィスから、小さく確かめる
最初の候補には、仕入商品の比較表づくり、院内マニュアルの整理、作業手順書の下書きなどが考えられます。出力を人が確認し、修正してから使う工程を設けやすく、対象を少数の品目や一つの手順に絞って検証できます。
ただし、バックオフィスという名前だけで安全性は決まりません。職員や取引先の個人情報、仕入価格や支払情報などが含まれることも想定し、扱う情報、閲覧できる人、送信先、保存方法を確認します。比較表の作成と発注、下書きの作成と正式な手順の変更は、それぞれ確認する段階を分ける案です。
試した後は、出力までの速さだけでなく、確認と修正にかかった時間も記録します。間違いに気づけるか、担当者が変わっても使えるか、止まったときに元の方法へ戻れるか。こうした点も、次の段階へ進めるかを考える材料にします。
この連載で、どこまで扱うか
連載は、医院のボトルネックの見つけ方から、取り組みやすいバックオフィス業務へ進みます。その後、カルテ番号を照合のキーとするマスター連携の考え方、Codexで作成したもの、WEBアポとブラウザ拡張機能の連携、仕入業務に合わせたアプリへと具体化していく予定です。
カルテ番号の回では、番号の管理元を決め、アプリごとの患者IDとの対応関係を整理する方法を扱います。氏名をカルテ番号に置き換えても、ほかの情報と容易に照合して患者さんを識別できれば個人情報に当たります。番号の一致に加え、扱う情報や送信先を確認することも、連携設計の一部です。個人情報保護委員会の医療・介護Q&Aも参照しながら説明します。
現在、仕入AGENTと商品登録用のブラウザ拡張機能は作成済みで、代表的な商品ページからの情報取得を検証した記録があります。全商品での動作や実運用の効果は未確認です。保険請求点検AGENTは計画段階にあります。「作成済み」「検証した範囲」「まだ確認できていないこと」「今後の構想」を区別し、医院で判断する材料を共有していきます。
次回予告:「医院のボトルネックはどこか」。1週間の観察で何を記録し、どの仕事から見直すかを具体的に整理します。
資料確認日:2026年10月8日。作成支援:AIを利用した原稿案です。歯科医師による内容確認前のため、公開前に確認・修正が必要です。実患者の情報・症例は使用していません。
歯医者のどんちゃん
[…] 連載の入口となる第1回「なぜ歯科医院にAXなのか」も、ぜひご覧ください。 […]