金川歯科医院AXノート|第2回
前回は、AIを選ぶ前に医院の仕事の流れを見る、という考え方を紹介しました。今回は、その流れをどう書き出し、最初に見直す仕事をどう選ぶかを具体化します。忙しさを感じる場面を、改善できる作業の単位まで分けてみましょう。
目次
「何をもって終わりか」まで書き出す
まず一つの業務を選び、始まりと終わりを決めます。「書類を作る」なら、入力を終えるまでなのか、内容を確認して渡せる状態にするまでなのか。終点が曖昧だと、入力だけ速くなっても、その後に残る仕事を見落とします。
たとえば、補充依頼を整理する架空の業務なら、次のように書けます。
不足に気づく → 依頼を書く → 品名・規格を確認する → 不明点を聞き直す → 担当者が候補をまとめる → 責任者が確認する
各工程の下に「担当する役割」「必要な情報」「次へ渡すもの」を添えます。途中で前の工程に戻るなら、戻る矢印も加えます。これは金川歯科医院の実際の仕入れ手順を示す図ではなく、書き出し方の例です。
米国の医療研究・品質調査機構AHRQの業務フロー図の解説も、工程や担当者、引き継ぎを図示し、往復や重複を探す方法を紹介しています。書いた図は、実際にその仕事をする人と確かめます。「普段はこの順番だが、情報が足りない日は違う」といった例外も、見直す手がかりになります。
作業している時間と、止まっている時間を分ける
次に、気になる工程を短期間記録してみます。前回提案した1週間は観察の始め方の一例です。期間中にその仕事がほとんど発生しなければ、別の日や週も見る必要があります。
記録欄は、次のように絞ると始めやすくなります。
- 作業名と発生回数:どの仕事が、どれくらい繰り返されたか。
- 実際に作業した時間:入力、調査、確認、修正に使った時間。
- 待っていた時間と理由:返事待ち、必要な情報の不足など。
- 戻った工程:何が足りず、どこをやり直したか。
- 次に待つ役割:その工程が止まると、誰の仕事が進まないか。
先ほどの架空例で、規格の記載が足りず確認が止まったなら、「入力が遅い」とまとめず、「規格が不明で依頼元へ確認」と記録します。人の名前や患者情報は不要です。個人を評価する記録ではなく、情報と仕事の受け渡しを調べる記録にします。
AHRQの時間観察の解説では、工程ごとの時刻や所要時間を観察する方法を確認できます。ここに挙げた記録欄は、それを踏まえた本連載の実践案です。
頻度だけで決めず、手戻りと引き継ぎも見る
記録が集まったら、よく発生する作業、確認が集中する工程、同じ理由で戻る工程を探します。「回数×作業時間」は負担を比べる目安になりますが、待ち時間とは分けて扱います。誰かの返答を待つ時間を、そのまま削減できる人件費として数えることはできません。
架空例で規格の聞き直しが繰り返されるなら、依頼欄をそろえる案が考えられます。確認担当が不明で止まるなら、担当と受け渡し方法を決める案です。同じ情報を何度も写すなら、既存アプリとの連携や入力補助を検討できます。記録した理由によって、選ぶ改善策も変わります。
金川歯科医院では、コンサル後の見積書作成がボトルネックだったことが、WEBアポ連動プロジェクトの出発点になりました。医院の料金体系に合わせた実装と、ベータテスト、フィードバックによる改善は、後の実例編で詳しく紹介します。
最初の一業務を、小さく確かめる
候補を一つ選ぶときは、「繰り返し発生するか」「必要な情報と手順を説明できるか」「結果を確認する人を決められるか」「試す範囲を限定できるか」を見ます。負担が大きいだけでなく、変更前後を比べられることも選ぶ材料です。
試す前に、どこまでを改善の対象にするか、何を記録して比べるかを決めておきます。試した後は入力の速さだけでなく、確認・修正や次の担当者の負担まで振り返ります。この記事は業務を整理する方法の提案であり、医院での測定結果や時間短縮の実績を示したものではありません。
次回:「AXは取り組みやすいバックオフィスから」。整理した候補の中から、最初に試す業務を選ぶ考え方を紹介します。
資料確認日:2026年10月9日。AIによる原稿作成支援を利用しています。公開後に運営者が内容を確認し、必要に応じて追記・修正する方針です。補充依頼の業務例は架空のもので、実患者の情報は使用していません。
歯医者のどんちゃん 