こんにちは、歯医者のどんです。
今回は、保険診療で行う「歯の移植」とその費用(自己負担額)について解説します。
目次
まず、虫歯や歯周病、歯根破折などで歯を抜歯した場合、
歯を失ったところを補う治療の選択肢は、基本的に3つあります。
1)入れ歯:バネで両隣の歯に引っ掛けて固定する、取り外しできる義歯
2)ブリッジ:歯がないところの両隣の歯にセメントで固定する、取り外せない義歯
3)インプラント:人工の歯根(インプラント)を顎骨に埋め込んで、インプラントを土台に人工歯を立てる
これに、もう1つの選択肢が実はありますが、
それは、歯の移植!
特に、機能していない親知らずを、歯のないところに移植するケースが多いです!
歯の移植は、保険診療で行える治療です。
しかし、一応保険適用の条件があります。
1)保存不適で抜歯した歯の抜歯窩に行わなければならない
2)同一患者から抜去した埋伏歯または智歯を移植しなければならない
3)「保存不適歯牙の抜歯と同時に移植を行う」文言は平成26年の改正で削除
→ 欠損部への移植も可能になった(抜歯後同時移植はもちろん、待時移植も可能へ)
歯の移植治療の流れをみてみると、
1)局所麻酔
2)保存不適の歯を抜く(歯の移植を受ける部位)
3)移植する歯(埋伏歯 or 智歯)を抜く(移植のための歯を提供する部位)
4)移植する歯を、抜いたところに移植する
5)移植した歯を隣の歯に固定する
実際、保険点数の算定についてみてみましょう。
1)歯の移植:1,300点
2)抜歯:270点(難抜歯加算は+230点、埋伏歯抜歯:1,080点)、移植のための歯を提供する歯(智歯)の抜歯に対して算定する、保存不適歯の抜歯に対しては算定しない
3)暫間固定(困難):500点
初診料、再診料、処方箋などの点数を合計すると、約2,500点程度で、自己負担率3割ですと、約7,000~8,000円ほどが、歯の移植にかかる費用になります。
歯の移植後、移植した歯の歯髄は血流を失ってしまうので、2〜3週間後くらいから根管治療(抜髄&根管充填)を行わないといけません。
そして、根管治療後は、土台をたてて(支台築造)、かぶせもので噛み合わせを付与して(クラウン修復)、終わりとなります。
1)歯の移植:約2,500点
2)抜髄:約600点
3)根管充填:約500点
4)支台築造:約350点
5)クラウン修復:約1,500点
合 計)約5,450点
になりますので、3割負担だと、移植して被せ物が入るまで、約16,000円程度かかります!
処置の点数以外にも、再診料や管理料、処方せん、エックス線撮影などの細かい保険点数が追加で加わるので、細かい費用は多少上下すると思いますが、だいたいこれくらいの費用の範囲に収まると思います。
今回は、保険診療による歯の移植の保険適応条件、実際の流れやかかる費用について確認してみました!
噛む働きをしていない親知らずがあれば、歯の移植は、歯の欠損部に選択できるとても良い治療法だと思います!
人工物じゃなく、ご自身の歯を活用して、歯がないところを補う治療ですので、最も体に優しい治療法といえますね!
それでは、また!