コンポジットレジンの重合収縮によってできる隙間のこと、コントラクションギャップはどうしたら緩和できるか?
重合収縮の緩和について考えてみます。
目次
コンポジットレジンは、可視光線を当てることで重合する歯科材料ですが、重合反応によって収縮します。
重合収縮によって、
1)コントラクションギャップ:レジン充填物と歯との接着力が、重合収縮応力に負けると、レジン充填物が収縮し、歯との間に隙間ができてしまうこと
2)ホワイトマージン:重合収縮応力で引っ張られた歯が境界面に微細な破折が生じて白っぽく見える
3)二次う蝕:コントラクションギャップから発生したう蝕
などの弊害が生じます。
なので、コンポジットレジンで窩洞を充填するときは、重合収縮へのマネジメントをして、これらの弊害が起きないようにしないといけません。
残念ながら重合収縮自体をゼロにすることはできないので、重合収縮応力による上記の弊害もゼロにはできませんが、
材料を特性を理解し、上手く活用すれば、緩和することはできます。
コンポジットレジンの重合収縮を緩和するためには、具体的にどうすればいいか?
重合収縮応力を緩和するための対策を考えてみましょう。
1)レジンを一括充填(バルク充填)せず、何回かに分けて充填する(積層充填)
2)低収縮コンポジットレジンを使用する
3)弾性係数の低い高流動性コンポジットレジンで窩底にライニングを行う
4)緩やかに出力が上昇する光照射で、コンポジットレジンを光重合させる
5)ライニング後しばらく待つ
6)リボンドなどのポリエチレンファイバーを併用する
7)化学重合コンポジットレジンの併用
などがあげられます。
これは、2022年4月に参加したRibbondセミナーで教わったもので、コンポジットレジン修復の成功のためには、
・接着力の最大化
・重合収縮応力の緩和
を考えないといけないという内容でいろいろ勉強させていただきました。
特に、演者の河阪幸宏先生のinstagramは芸術的な症例写真をいつも掲載してくださって、臨床の参考にしています。
象牙質接着技術の向上とともに、最近は患者さんの歯科に対する意識が非常に高まり、歯質保存的治療への需要も増えてきております。
そういう背景の中で、歯科臨床でコンポジットレジンを活用する頻度と範囲が広がってきています。
中でも、コンポジットレジンの臨床において、重合収縮応力の緩和への具体的な配慮が、接着力の最大化よりも注目されてきていますし、実際、コンポジットレジン修復の長期安定性にかかわる問題なので、しっかり理解しておくといいですよね。
以上!